木の感触|漆と絵の小さな展覧会
漆と絵の小さな展覧会を仙川のアートスペース・ツォモリリ文庫で開催します。
漆を塗ることで器はウォータープルーフとなり、強化され、長持ちします。木がひびわれれば、また漆を塗って修理して……。そして役割を終えれば、土に還ります。
しかし、20年かけて育てた1本の漆の木から採取できるのは、わずか200ccの樹液。お椀数客を塗るのに費やされてしまうこともある分量です。森や里山が消えていく今、生き残りが難しくなってきている手法ともいえます。しかし、縄文時代から続く日本の伝統をなくしてしまうのは残念で仕方ありません。
私たちツォモリリ文庫チームは、インドで芸術祭を開催してきた中で、漆器を携え、先住民ワルリ族の村に滞在しました。そこで、「サスティナブルで美しい器だ」と絶賛され、初めて漆の良さに気づき、インドでも漆展を開催してきました。
今年は、若手の蒔絵師・八木由紀子、漆作家・一田萌里に加え、森の中から漆の木を探し自ら樹液を掻いて器作りをしている「et craft(エト・クラフト)」平井岳・綾子の漆器もやってきます。木の力、森の力を見直したい、そんな気持ちを強く持って2021年の歳迎えの時期を飾ります。漆とコラボレーション展示するのは、画家・岩切章悟の「透明の森」シリーズ。都会に住む私たちの心にすっと森を連れてきてくれる、そんな絵です。
◆会期:2020年12月18日(金)〜2021年1月11日(月)
*1月1日(金)、2日(土)は正月休み。3日(日)正午より新年営業開始。
時間:11時〜18時 (月のみ12時〜) 定休日 火・水・木
◆作家紹介
八木由紀子(蒔絵師)
福島県生まれ。会津大学短期大学部にて漆芸家須藤としをに師事。卒業後、会津漆器組合訓練校で蒔絵を学ぶ。訓練校終了後は、伝統工芸士の曽根英明、本田充に従事。独立後は、創造性と会津漆器伝統の技が融合した丁寧な作品制作で活躍している。インド・ワルリ族の村で開催された「第2回世界森会議」、ムンバイで開催された「漆と絵師展」において、漆にまつわるレクチャーを行った。
一田萌里(漆器作家)
長野の工房で制作しながら、瓢箪や、漆の作業工程で廃棄される漆をぬぐった和紙などを素材に作品を生み出している。インド、ワルリ族の村で開催した「第2回世界森会議」、ラダックで開催した「第3回世界森会議」で、漆の魅力をデモンストレーションを交えて伝えた。
et craft 平井 岳、平井綾子
福島県郡山市に拠点を持つ漆や木にまつわる塗師夫婦・平井岳と平井綾子の工房。et(エト)とは『&』を意味している。「アートとクラフト」「人と物」「古いと新しい」など、一見離れているものを繋いでいる「&」が「素材」であるととらえ、様々な「&」のありかたを考えることを軸にものづくりに励んでいる。平井岳は2011年から茨城県常陸大宮市にて漆掻きに従事し、2019年には岩手県二戸市にて漆掻き技術保存会主催の長期研修を受講。2020年からは福島県にて漆掻きに取り組む。作品は上塗り(最終工程)のすべてに国産の漆を使用している。木の個体差や、採取時期の気候によって色艶が少しずつ異なる漆を合わせる素材や仕上げに応じて細やかに使い分けている。
webサイト:https://etcraftet.wixsite.com/info
岩切章悟(画家)
未知の環境から得る感覚をイメージにして絵を描く製作を好み、数十カ国もの国に絵を描く旅をする。中でも強く影響を受けたのが中南米を中心とするラテンアメリカ先住民文化であり、彼らとの生活を通しシャーマニズムに触れ その経験が自身の絵画世界の中にも大きく反映されていく。2007年から約2年半のラテンアメリカへの旅を終え2009年帰国。個展や 壁画製作 LIVE PAINTを中心に日本での活動を再開。2011年東日本大震災を機に循環をコンセプトとした[★ con tierra ☆] シリーズを発表。2017年8月、2011-2016年までのシリーズ代表作を収録した1st ART BOOK ” con la tierra ” を出版。
webサイト: http://shogoiwakiri.jp
◆期間中のイベント
12 月27日(日)・28日(月)
八木由紀子による漆のスプーン・豆皿づくりワークショップ
参加費:豆皿づくり 3500円(お茶付き)・スプーンづくり 4000円(お茶付き)
定員:各回6名
お申し込み:E mail: booking@tsomoriribunko.com (浜尾)
電話: 03-6338-1469 (営業時間内 月・金・土・日 12:00-18:00)