ツォモリリシネマ「Power to the People~グローバルからローカルへ~」映画評

ほぼ毎日、一回以上は何かの商品やサービスを購入している事と思う。それはたくさんの選択肢の中から自分がいいと思ったものを選び出す行為であり、その商品やサービスの提供先をまるまると支持する行為でもある。特に支持はなく、ただなんとなくその商品を購入していたとしても提供先の懐が潤うことは事実だ。

3.11で原発事故を起こした東電は、福島第一原発に対し津波の影響を危惧する指摘を受けていたことが分かっている。これは事故が起こる前のことだ。しかしなんの措置も取られることは無く、その責任を当時の役員たちが負う可能性は今のところない。電力が自由化された今、東電のあり方にわずかでも疑問を持つ人々の何割が、電力会社を変更する手続きをしたのだろう?

正直この文章を偉そうに書いている自分も、積極的に自分から会社を変更したりはしていなかった。今まで当たり前だった習慣を変えるのは実際なかなかの労力で、もうきっぱりと面倒としか言いようがないのが実際のところだ。

しかし、この映画に登場するデンマークのサムソ島の人々は自分たちで発電する仕組みを作り出した。この島は独立してやっていける力を得ている。自分が共感を覚えたのはその意識の高さというよりは、この取り組みをしている人々の楽しそうな表情だ。快晴を喜び、電気の使用量と生産量を示す計器をみる時の、うきうきとした顔がよい。自分のようなおばあさん好きにはたまらないシーンだ。

この感覚には覚えがある、かつて当たり前のように親が作るうまい飯をただ貪るだけだった自分が少しずつ料理を覚え、スーパーで自分の考えに即した食材や調味料を選び購入しているときの喜びだ。漠然と、ご飯をつくるということに対し億劫で面倒な気持ちがあったが、実はそれは心を安定させてくれるものだったと知ったとき。これは力を手にし、自立したことへの喜びといってもいいと思う。

とりあえず上映日までに契約したい電力会社を探してみようと思う電力を使用することに自信を持てたらもう少し生活が楽しくなるかも。

小栗千隼

2019-11-22 | Posted in 上映会